日々、腐った脳ミソをどうにかできないか画策中。
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革命シリーズの新刊が出てる・・・!らしい。
シリーズ7。
雑誌上ではシリーズ8が始まっているとか。
たまらなくなって、やっちまいました。
書いてしまいました。
あああああ。
すみません。
「恋刃」の少しあとくらい・・・です。
シリーズ7。
雑誌上ではシリーズ8が始まっているとか。
たまらなくなって、やっちまいました。
書いてしまいました。
あああああ。
すみません。
「恋刃」の少しあとくらい・・・です。
夢を見た。
いつものものだ。
「亮司」
懐かしくも悲しい声に呼ばれる。
「先生」
そこにいるのは、白いワイシャツに黒のパンツというラフな格好の大川だ。病的なほどに白く、細い身体に心配そうに駆け寄るが、どこまでも、どれだけ走って大川のところまでたどり着けない。
「先生」
手を伸ばす。大川は何も言ってくれない。
そこで目を覚ました。
汗をかいていた。
予約設定をしていた時間よりも早く目が覚めたらしい。ふっと肩を落としていると、カチリとエアコンが動き出す音がした。
カーテンの向こうから白い光が洩れている。
銀座の朝は静かだが、代わりに蝉の声がうるさい。
今日も暑くなりそうだった。
事務所に出て留守電に何のメッセージも入っていないことを確認し、ふと、懇意にしている彫刻家がプレゼントしてくれた卓上カレンダーに目をやる。そういえば、すみれが、夏休みの宿題がどうとか言っていた。
夏休みなんて魅力的な言葉に縁はなかったが、そうかとも思う。もう夏なのだ。小さい頃は、よく両親に連れられていろいろなところへ旅行へ行ったものだ。
すみれの養父である蘇は診療で忙しいし、あの男はきっと、この世に夏休みというシステムがあることも知らないだろう。しかし、すみれ自身、新宿という街にマーキングすることに夢中だし、どこかへ行きたがるようなタイプでもない。せいぜいがツーリング程度だろう。すみれに甘い夢を見せてやりたいなどと思う方が間違っていた。すみれが望むものは、そんな安いものではないはずだ。
ギャラリーに出ると、一面、青の世界が広がる。
この暑さの中、せめてもと二日前から「涼」と「青」をテーマにした企画展を催していた。
一言に青といっても、いろいろある。それは色だったり、世界だったり。
今日は昼前に彫翔が来て、一緒に昼食を摂る約束をしていた。
彫翔とは作られた出会い(向こうはそう思っていないが)で出会うべくして出会った人間だが、彼の刺青の世界はまぎれもなく本物だと思っている。そして、彼が本当の自分を亮司の前にさらけ出したいと願っていることも知っている。それは、芸術か、それとも――。
そこまで考えて亮司は苦々しく息をついた。
床から天井まであるキャンバス一面に描かれた青の世界の前に、見慣れたシルエットが浮かぶ。
神出鬼没という言葉は、まさにこの男のためにあるのではないだろうか。
まだエアコンの効いていないギャラリーにあって、汗ひとつかいていないどころか、涼しげな眼差しを亮司に向け、
「いい夢は見られたか」
といつものセリフを口にする。亮司は肩をすくめ、「見てない」と横を向いた。
今日のサーシャは、ベージュの麻のジャケットを羽織っただけのラフなスタイルだった。
「何かあったのか」
この男は、用がない限り、姿を見せることはない。サーシャは、珍しく目を細めて亮司を見ると、小さく笑った。
「今日一日くらい、夏を味わってもいいと思ってね」
「そうかよ」
いつも突然。そして、それはすでに決定事項なのだ。
「すみれにも声をかけろ」
という声を背に、亮司は受話器を取った。
三回の呼び出し音の後に、「はい」と聞きなれた声が返ってきた。
「あ、彫翔さん。亮司です。すみません、今日、急な用事ができてしまって――」
満足そうに見つめてくる男をニラむ。が、それも一瞬のことだった。
男に出会って、嘘を覚えた。
そう。
とても、甘い嘘を――。
いつものものだ。
「亮司」
懐かしくも悲しい声に呼ばれる。
「先生」
そこにいるのは、白いワイシャツに黒のパンツというラフな格好の大川だ。病的なほどに白く、細い身体に心配そうに駆け寄るが、どこまでも、どれだけ走って大川のところまでたどり着けない。
「先生」
手を伸ばす。大川は何も言ってくれない。
そこで目を覚ました。
汗をかいていた。
予約設定をしていた時間よりも早く目が覚めたらしい。ふっと肩を落としていると、カチリとエアコンが動き出す音がした。
カーテンの向こうから白い光が洩れている。
銀座の朝は静かだが、代わりに蝉の声がうるさい。
今日も暑くなりそうだった。
事務所に出て留守電に何のメッセージも入っていないことを確認し、ふと、懇意にしている彫刻家がプレゼントしてくれた卓上カレンダーに目をやる。そういえば、すみれが、夏休みの宿題がどうとか言っていた。
夏休みなんて魅力的な言葉に縁はなかったが、そうかとも思う。もう夏なのだ。小さい頃は、よく両親に連れられていろいろなところへ旅行へ行ったものだ。
すみれの養父である蘇は診療で忙しいし、あの男はきっと、この世に夏休みというシステムがあることも知らないだろう。しかし、すみれ自身、新宿という街にマーキングすることに夢中だし、どこかへ行きたがるようなタイプでもない。せいぜいがツーリング程度だろう。すみれに甘い夢を見せてやりたいなどと思う方が間違っていた。すみれが望むものは、そんな安いものではないはずだ。
ギャラリーに出ると、一面、青の世界が広がる。
この暑さの中、せめてもと二日前から「涼」と「青」をテーマにした企画展を催していた。
一言に青といっても、いろいろある。それは色だったり、世界だったり。
今日は昼前に彫翔が来て、一緒に昼食を摂る約束をしていた。
彫翔とは作られた出会い(向こうはそう思っていないが)で出会うべくして出会った人間だが、彼の刺青の世界はまぎれもなく本物だと思っている。そして、彼が本当の自分を亮司の前にさらけ出したいと願っていることも知っている。それは、芸術か、それとも――。
そこまで考えて亮司は苦々しく息をついた。
床から天井まであるキャンバス一面に描かれた青の世界の前に、見慣れたシルエットが浮かぶ。
神出鬼没という言葉は、まさにこの男のためにあるのではないだろうか。
まだエアコンの効いていないギャラリーにあって、汗ひとつかいていないどころか、涼しげな眼差しを亮司に向け、
「いい夢は見られたか」
といつものセリフを口にする。亮司は肩をすくめ、「見てない」と横を向いた。
今日のサーシャは、ベージュの麻のジャケットを羽織っただけのラフなスタイルだった。
「何かあったのか」
この男は、用がない限り、姿を見せることはない。サーシャは、珍しく目を細めて亮司を見ると、小さく笑った。
「今日一日くらい、夏を味わってもいいと思ってね」
「そうかよ」
いつも突然。そして、それはすでに決定事項なのだ。
「すみれにも声をかけろ」
という声を背に、亮司は受話器を取った。
三回の呼び出し音の後に、「はい」と聞きなれた声が返ってきた。
「あ、彫翔さん。亮司です。すみません、今日、急な用事ができてしまって――」
満足そうに見つめてくる男をニラむ。が、それも一瞬のことだった。
男に出会って、嘘を覚えた。
そう。
とても、甘い嘘を――。
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