日々、腐った脳ミソをどうにかできないか画策中。
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今日からオリジナル小説の連載をはじめようかと・・・。
お暇でなおかつBLに嫌悪感などを抱かない方に。ということは、BLということですからね。
どんとこい!という方は、下の方からどうぞ↓
お暇でなおかつBLに嫌悪感などを抱かない方に。ということは、BLということですからね。
どんとこい!という方は、下の方からどうぞ↓
白い月。
波は静かな夜。
ザザ、という波の音が意外に心地よく、その音に誘われてどこか遠くへ行きたいとも思う。
海。
やわらかな人肌色をした細かい砂が、月の白で輝いていた。
耳が、小さな音を捕える。
誰かいる?
サクサクと素足で砂浜を進み、探す。
誰を?
ザザ、ザザ。
波の音。
大きくなっていく。
ザザ、ザザ。
誰かが呼んでいる?
「――」
声。
この声は……、知っている。
ザザザ、ザザ。
聞こえるのは波の音ばかり。
いかなくては。声のする方へ。
声?
気のせいだろう、誰もいない。
目をつむっても暗闇は訪れない。
ザ、ザザ。
うるさい。
声がするんだ。
おれを呼ぶ声が。
「――」
声。
「――」
声。
「――」
もっと。
「――」
もっと呼んでくれ。
もっと欲してくれ。
「――先生」
え?
「佐木先生!」
ガクンと大きな揺れにハッと目を開けると、激しく肩を揺すぶられている自分がいた。
……いつもの夢、か。
無理やり現実に引き戻されたために動悸が激しく、額にはうっすらと汗までかいていた。
心配そうに覗きこんでくる顔からそっと視線をはずす。
「大丈夫です」
顔に浮かんでいたのは、心配と少しの欲情。隠すつもりもないのか、席が隣の体育教師は、肩に手を置いたまま、
「昼寝ですか?」
と軽く声を立てて笑う。
「あー……、すみません。何か用事でしたか」
さっぱりと、けれど人の目を引くには十分は笑顔を浮かべる。チラリと右肩に置かれた手に目をやり、早くこの手を離せよ、クソブタ野郎と心の中で罵ることも忘れない。
「いえ、何かうなされているようだったので……。だいぶお疲れみたいですね、佐木先生」
「そんなことはないですけど」
大丈夫です。という言葉と共にサッと視線を巡らせる。放課後の職員室に人影はまばらで、そのほとんどは部活動に顔を出しているらしい。玲治も去年までチェスクラブを担当していたが、今年の新入部員が0だったために同好会に格下げとなり、玲治の役割もそれまでとなった。同じ二年生のクラスを担当する隣の体育教師は、確かソフトボール部の顧問をしているはずだが……。まさかこんな時間に職員室にいるとは、迂闊だった。隙を見せてしまった自分に舌打ちしたくなる。袖口から入り込んでくる絡みつくような視線。気持ち悪い。
長身だが細身で色の白い玲治は、良家出身だという母親に似て、顔立ちもバランスよく、女よりも男好きのする顔といえる。言い寄る人間はこれまでにも少なくなかったが、この体育教師は直接な言葉を口にしないままにしつこかった。私立高校は公立高校と違って異動がないために、無碍にすることもできなかった。どうやら、じわじわと責めてくるのが手らしい。
「佐木先生、今夜お暇ですか。うまい肴を出す料理屋を見つけたんですよ。駅からは少し遠いんですけど、どうですか。先生、お酒の方は大丈夫でしたよね」
「はぁ……、まぁ」
誰か助けろよと視線を巡らすと、ちょうど教頭が入り口からやって来るところで、通じるものがあったのか、そのまま真っすぐ玲治のところまでやって来る。体育教師の手がスッとはずされる。
「あぁ、佐木先生、ちょっと。――おや、酒井先生、部活の方は」
いつものように、下品なくらい早口でまくしたてる。メガネをカチャカチャうるさく直すのも忘れない。
「今、行こうと思っていたところですよ」
チッと舌打ちしそうな勢いの酒井とは反対に、玲治は珍しく目の前の老教師に笑顔を振りまいた。
「何ですか、教頭先生」
「来週、転校してくる生徒のことで校長先生がお呼びですよ。すぐ、一緒に来て」
「分かりました。今、行きます」
立ち上がり、振り返らずに職員室を出る。「また今度にでも」という言葉は、間違っても口にしなかった。
波は静かな夜。
ザザ、という波の音が意外に心地よく、その音に誘われてどこか遠くへ行きたいとも思う。
海。
やわらかな人肌色をした細かい砂が、月の白で輝いていた。
耳が、小さな音を捕える。
誰かいる?
サクサクと素足で砂浜を進み、探す。
誰を?
ザザ、ザザ。
波の音。
大きくなっていく。
ザザ、ザザ。
誰かが呼んでいる?
「――」
声。
この声は……、知っている。
ザザザ、ザザ。
聞こえるのは波の音ばかり。
いかなくては。声のする方へ。
声?
気のせいだろう、誰もいない。
目をつむっても暗闇は訪れない。
ザ、ザザ。
うるさい。
声がするんだ。
おれを呼ぶ声が。
「――」
声。
「――」
声。
「――」
もっと。
「――」
もっと呼んでくれ。
もっと欲してくれ。
「――先生」
え?
「佐木先生!」
ガクンと大きな揺れにハッと目を開けると、激しく肩を揺すぶられている自分がいた。
……いつもの夢、か。
無理やり現実に引き戻されたために動悸が激しく、額にはうっすらと汗までかいていた。
心配そうに覗きこんでくる顔からそっと視線をはずす。
「大丈夫です」
顔に浮かんでいたのは、心配と少しの欲情。隠すつもりもないのか、席が隣の体育教師は、肩に手を置いたまま、
「昼寝ですか?」
と軽く声を立てて笑う。
「あー……、すみません。何か用事でしたか」
さっぱりと、けれど人の目を引くには十分は笑顔を浮かべる。チラリと右肩に置かれた手に目をやり、早くこの手を離せよ、クソブタ野郎と心の中で罵ることも忘れない。
「いえ、何かうなされているようだったので……。だいぶお疲れみたいですね、佐木先生」
「そんなことはないですけど」
大丈夫です。という言葉と共にサッと視線を巡らせる。放課後の職員室に人影はまばらで、そのほとんどは部活動に顔を出しているらしい。玲治も去年までチェスクラブを担当していたが、今年の新入部員が0だったために同好会に格下げとなり、玲治の役割もそれまでとなった。同じ二年生のクラスを担当する隣の体育教師は、確かソフトボール部の顧問をしているはずだが……。まさかこんな時間に職員室にいるとは、迂闊だった。隙を見せてしまった自分に舌打ちしたくなる。袖口から入り込んでくる絡みつくような視線。気持ち悪い。
長身だが細身で色の白い玲治は、良家出身だという母親に似て、顔立ちもバランスよく、女よりも男好きのする顔といえる。言い寄る人間はこれまでにも少なくなかったが、この体育教師は直接な言葉を口にしないままにしつこかった。私立高校は公立高校と違って異動がないために、無碍にすることもできなかった。どうやら、じわじわと責めてくるのが手らしい。
「佐木先生、今夜お暇ですか。うまい肴を出す料理屋を見つけたんですよ。駅からは少し遠いんですけど、どうですか。先生、お酒の方は大丈夫でしたよね」
「はぁ……、まぁ」
誰か助けろよと視線を巡らすと、ちょうど教頭が入り口からやって来るところで、通じるものがあったのか、そのまま真っすぐ玲治のところまでやって来る。体育教師の手がスッとはずされる。
「あぁ、佐木先生、ちょっと。――おや、酒井先生、部活の方は」
いつものように、下品なくらい早口でまくしたてる。メガネをカチャカチャうるさく直すのも忘れない。
「今、行こうと思っていたところですよ」
チッと舌打ちしそうな勢いの酒井とは反対に、玲治は珍しく目の前の老教師に笑顔を振りまいた。
「何ですか、教頭先生」
「来週、転校してくる生徒のことで校長先生がお呼びですよ。すぐ、一緒に来て」
「分かりました。今、行きます」
立ち上がり、振り返らずに職員室を出る。「また今度にでも」という言葉は、間違っても口にしなかった。
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